乳児期にみられる湿疹
乳児脂漏性皮膚炎
皮脂の過剰な分泌を主な原因として発症します。マラセチア菌という常在菌の影響もあると言われています。母親から受け取ったホルモンの影響が残る生後2~3カ月までは特に皮脂が多いため、この時期の発症が目立ちます。部位としては、顔、頭、首、脇などに好発します。
皮脂欠乏性皮膚炎
生後半年頃、母親から受け取ったホルモンの働きが低下します。これにより今度は皮脂の分泌が少なくなるため、炎症が引き起こされることがあります。アトピー性皮膚炎の可能性もあるため、特に早めの受診が必要です。
新生児ざ瘡
赤ちゃんにできるにきびのことです。皮脂の過剰な分泌による毛穴の詰まり、マラセチア菌の影響などによって発生します。
生後1~2週間頃から現れることが多いため、このような名前がついています。特に、男の子によく見られます。
接触皮膚炎
(おむつかぶれなど)
おむつとの繰り返しの接触によって起こる皮膚炎です。
特に、おむつの交換頻度が少なかったり、通気性が悪かったりすると、リスクが高くなります。皮膚がただれ、ひどく痛がることもあります。
アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返します。アトピー性皮膚炎はもともと乳幼児期に発症しやすい病気です。実際に、患者の6割以上が1歳までに発症しています。
原因として、皮膚の乾燥やバリア機能の低下などの体質的な要因、アレルゲンとなる物質への曝露の程度などの環境的要因、ストレス要因が挙げられます。
乳児湿疹の症状・
いつからいつまで続く?
乳児湿疹の症状の現れ方には、以下のようなものがあります。
多くは、生後2~4カ月のあいだに発症します。新生児ざ瘡のように、生後1~2週で発症するケースも見られます。
いずれの場合も、正しく治療・ケアをすることで改善が可能で、ほとんどは皮脂の分泌などが落ち着く1歳頃までには軽快します。ただし、アトピー性皮膚炎など慢性化し症状がひどくなることもあるため、皮膚科できちんと治療を受けることが大切です。
- 赤い小さなポツポツ
- 黄色っぽいかさぶた
- フケ(頭皮の湿疹の場合)
- 小さな水ぶくれ
- ジュクジュク
- かゆみ
乳児湿疹の治し方
乳児湿疹は、そのタイプによって治療法が異なります。
乳児脂漏性皮膚炎
多くは経過観察に留め、積極的な治療は不要となります。ただ、他の疾患との鑑別のため、必ず皮膚科で診断を受けるようにしましょう。
赤み、かゆみがある場合には、外用薬による治療を行います。
皮脂欠乏性皮膚炎
保湿剤を使用し、お風呂あがりを中心とした適切なスキンケアを行います。お風呂の際に洗いすぎないこと、部屋の湿度を調整することも大切です。
適切なスキンケアで皮膚のバリア機能を維持することは、アトピー性皮膚炎の予防にもなります。
新生児ざ瘡
患部の清潔を保ちながら、適切なスキンケアを行います。
多くは、1歳頃までに自然治癒します。
あせも
軽度のものであれば、数日以内の自然治癒が期待できます。炎症が強い場合には、非ステロイド系抗炎症薬、ステロイドの塗り薬を使用することがあります。
いずれの場合も、小まめに汗を拭く・着替える・シャワーで洗うなどの方法で、患部を清潔に保ちましょう。
アトピー性皮膚炎
保湿剤を使い、お風呂後・シャワー後などには丁寧に保湿を行います。汗をかいた時の肌着の交換、排尿後・排便後のおむつ交換も小まめに行います。
炎症やかゆみを抑えるお薬を使用することもあります。
乳児湿疹のときのスキンケア
お肌を清潔にする
汗をかいたときには、その程度に応じて、清潔なタオルで拭く・着替える・シャワーを浴びさせるといった方法で、汚れたまま放置しないようにしてください。
石鹸を使う場合には、よく泡立てて、手を滑らせるようにして洗ってあげてください。基本的にタオルは不要です。また、泡はしっかりと洗い流します。
排尿後・排便後のおむつ交換も、小まめに行ってあげてください。
保湿する
皮膚が乾燥していると、刺激・アレルギーの影響を受けやすくなります。
シャワー・入浴後は必ず、保湿剤などで保湿をしてあげてください。ワセリン、ヘパリン類似物質、セラミドなどの低刺激性の保湿剤がおすすめです。保湿によって皮膚のバリア機能を正しく働かせることは、アトピー性皮膚炎の予防にもつながります。
汗をかきすぎないように
工夫する
赤ちゃんの身体は、大人よりも汗をかきやすくなっています。季節や気温に合わせて衣類を調整し、汗でびしょびしょになるようなことは避けましょう。
お家にいる時の室温・湿度の調整も大切です。また、お風呂からあがってすぐに布団に入ると、寝汗をたくさんかいてしまう原因になります。お風呂後1時間は布団をかけず、身体が温まり過ぎないようにしてください。