夏季に多い!?とびひ
(伝染性膿痂疹)とは
「とびひ」とは、細菌による皮膚の感染によって起こる病気です。
掻きむしるなどして水ぶくれやただれが急速に全身へと広がる様が“飛び火”のようであることから、この俗名がついています。正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と言います。
とびひの原因
とびひの原因となるのは、黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌です。
これらの細菌が、小さな傷、虫刺されなどから感染し、発症します。また細菌が付着した手などを介して、ご自身の全身、あるいはまわりの人へと感染が広がります。
黄色ブドウ球菌
ヒトの皮膚の表面にいる常在菌です。増殖時に出す毒素によって、とびひを発症します。
とびひのほとんどは「水疱性膿痂疹」であり、その原因となるのが黄色ブドウ球菌です。顕微鏡で見ると、“ブドウの房”のように丸い細菌が集合しています。
化膿レンサ球菌
厚いかさぶたを形成する「痂疲性膿痂疹」の原因となるのが化膿レンサ球菌です。こちらも常在菌で、小さな傷口などから皮膚に入り込み、感染します。「A群β溶血性レンサ球菌」「溶レン菌」とも呼ばれます。顕微鏡で見ると、丸い細菌が数珠のように“レンサ(連鎖)”しています。
とびひの種類と治療
水疱性膿痂疹
黄色ブドウ球菌に有効となる抗生物質を使用します。軽度であれば外用、水ぶくれや膿疱が生じている場合には内服をするのが基本です。抗生物質を外用する前には、水ぶくれ・膿疱を除去します。
かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬も併用します。
通常は3日程度で回復に向かいます。ただし、処方されたお薬は指示を受けた期間、正しく使用してください。
痂皮性膿痂疹
痂皮性膿痂疹は、A群β溶血性連鎖球菌を原因とするとびひですが、多くは黄色ブドウ球菌にも感染しています。そのため、これらの細菌に有効となる抗生物質の外用や内服を行います。
重症例では、抗生物質の点滴が必要になることもあります。
通常は3日程度で回復に向かいますが、処方されたお薬は指示された期間、正しく使用してください。
とびひにならないよう
予防・対策法
手の清潔に保つ
帰宅時や汚れた時には小まめに手を洗うこと、爪を短めに切っておくことなど、手の清潔を維持することが大切です。
身体の清潔を保つ
お風呂に入った時には、石鹸をよく泡立てて身体を洗いましょう。その後は、しっかりと泡を洗い流します。
身体を洗う時は、ゴシゴシと擦らないように注意してください。
指で鼻をほじらない
黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌は、鼻の中にも存在します。指で鼻をほじることはせず、鼻をかむ習慣を身につけましょう。
身体を引っ掻かない
かゆみがある場合も、身体を激しく引っ掻かないように注意しましょう。かゆみが強いと、夜中に無意識に引っ掻いてしまうこともあります。
タオルなどを共有しない
タオル、衣類など、皮膚に触れる日用品については、家族間であっても共有しないことをおすすめします。
特に家族の中に感染者がいる場合には、手を拭くタオルを含め、必ず分けてください。
アトピー性皮膚炎など他の皮膚疾患の治療をきちんと受ける
他の皮膚疾患があり、かゆみを伴う場合には、掻きむしってとびひが拡大するおそれがあります。
特にアトピー性皮膚炎の方は、皮膚のバリア機能が低下しており、とびひを発症しやすい状態にあります。きちんと治療を受け、症状を悪化させないようにしましょう。
とびひのよくある質問
とびひになっても、プールや銭湯・温泉などには行けますか?
学校保健安全法では、とびひが治るまでプールの使用が禁じられています。日本臨床皮膚科医会や日本小児皮膚科学会の見解も同様です。銭湯や温泉についても、治癒するまでは控えましょう。 登校については、病変部が限定的であり、ガーゼなどで覆っている場合については可能です。ただし、病変が広範囲である場合には、お休みすることが推奨されています。